とよじのなが~いつきあい

八尾市民大学講座情報や今日の言葉を書いてます

【田上選手は最後の最後でヒット!】

田上健一選手(28)は7打席に立ち、7打数1安打。【元DeNA菊地和正】空振り三振、【阪神・加藤】二ゴロ、【オリックス榊原諒】二ゴロ、【西武・田中靖洋】遊ゴロ、【日本ハム・河野秀数】空振り三振、【阪神・藤原】空振り三振、【DeNA・今井金太】カウント1-1からの3球目を中前打という内容です。なんせ投手陣は登板後すぐに囲み取材があり、終わるともう帰っていくもので…田上選手の打席をすべて見ることは無理でした。結果だけですみません。

当日のスケジュールは9時~10時が『受付終了後、各自でウォーミングアップ』となっており、参加選手にも「9時から受付」と伝えられています。しかし加藤投手が8時過ぎに到着したように、1時間前くらいから続々と現れるのが常ですね。西村投手も加藤投手のすぐ後に来て、8時半くらいには玉置投手と藤原投手がやってきました。

シート打撃の順番を見ると、どうやら田上選手が開始早々の “先頭バッター” のようですが、その田上選手はなかなか来ません。受付付近でウロウロしても見当たらず、これはもう既に入ってロッカールームにいるんだなと思い、行ってみたけどいない様子。で、引き返した時に通路の向こうから歩いて来るのを発見!時刻はちょうど9時です。

「田上くん、いきなり先頭バッターですよ」「えっ!」という会話をしました。まったく知らなかったそうです。いや、受付をしたら用紙をもらうでしょうに。それより結構ゆっくり来たんですね。「そうなんですか?だって9時から受付と言われたんで、時間通りに来ましたよ」。確かにぴったり定刻です。でもほとんどの人がもう着いてる…。「ええ~!だって早すぎると(会場が)開いていないのかなと思って」。とっても和みました。いつも通りの田上選手でよかった。

そんなわけで、リラックスして臨めただろうと思いきや「緊張しましたねえ。後半にだいぶ慣れてきたけど。なんか雰囲気が…。最初は浮足立ってるというか、いつもと全然違う感じがしてた。打たなきゃいけないという空気ですかね」と、かなり戸惑ったようです。最後にようやくヒットが出ました!「よかったです。でもやっぱり最初の方が」。やり直したい?「はい。まあしょうがないですからね」


『あそこは走りたかった!』

7打席目、センター前に打って一塁へ行った時、打者はあと1人いたので「よーし、走って!」と思ったら、ベンチに帰ってしまいましたね。あれはなぜ?「いや、わかんないです。僕も走る気満々だったんですけど、どいてって言われて」。あらまあ、どういうことですか!係の方は田上選手の俊足を知らなかったのでしょうか。逆に、もう見なくてもわかるから?もしくは…といくら考えてもわかりませんが、とにかく残念。田上選手も「あそこは走りたかった~」と繰り返します。

加藤投手や藤原投手というチームメイトの、しかも左ピッチャーと対戦。やりにくかったかと尋ねると「それは仕方ないですからね」とのこと。試合では滅多にない7打席で(まあトライアウトでもなかなかありませんが)、全投手の19番目までが終わったあとは、ラスト33番目のDeNA・今井投手の時まで回ってきません。その間は守備についていたものの「あまりにも守備の時間が長くて、さすがにお腹も空いたから、途中で抜けて食事した」そうです。いい判断でしたね。

ところで、トライアウトまでまだ何日かあったのに鳴尾浜で姿を見なくなって、ファンの皆さんも心配されていたと告げると「秋季キャンプでグラウンドを使えなくなって、練習場所がなかったので」と田上選手。それに黒瀬選手が西武に戻ってスコアラーになることを決めた今月初めからは、一緒に練習する相手もなくなったこともあったのでしょう。「だから大学(母校の創価大)で練習していました。現役選手と一緒に紅白戦もやらせて貰ったし、そういう面ではよかったです」

ちなみに紅白戦の結果は?「4打数1安打。でも大学のピッチャーだから、NPBとは球が違いますね。それこそ田中の球を打ちたかったけど」。プロ注目の田中正義投手は登板しなかったらしく、残念そうでした。ちょうど関東地区大学選手権の頃ですもんね。とはいえ、実戦形式の練習ができたことは大きかったはず。横浜の実家にも寄ったと、この日スタンドからご覧になったご両親がおっしゃっていました。

このたびのトライアウトについて「自分の中ではまだ悔しい部分がある。まだまだやるつもりでここに来ているので、どういう結果になるかわからないけど野球は続けていきたいです」という田上選手。「今はNPB以外でやることを考えていないですね。社会人とかの話もまだ来ていませんので。とにかく今はまだわからない」というのが、緊張の一日を終えての本音。

そして「最後、走りたかった。やっと塁に出たと思ったんですよ、それまで出られなかったんで。どいて、って…ねえ。あーほんと走りたかった!そこに悔いが残る」と、また悔しさがこみあげてきたみたいです。


『思い出の試合がもっと増えるように』

トライアウトとは関係ないのですが、もうひとつ聞いてみました。戦力外を告げられたあと10月20日に「甲子園の大観衆の中でやれたことが思い出。タイガースファンの方々に感謝しています」と話していた田上選手。一番印象に残っている試合は?「自分が出るとこは緊迫した場面ばかりだったので選びにくいんですけど…一番は桧山さんが打って、それでホームに還ってきたやつですかね。東京ドームの延長戦かな。それが桧山さんのシーズン初安打で」

はいはい、わかります。2013年5月8日の巨人戦ですね。東京ドームで6年ぶりに3連戦3連勝したという試合。2対2で迎えた延長12回、2死から田上選手が四球を選んで、代打の桧山選手が右翼線へ二塁打!田上選手は一塁から生還して、これが決勝点となり3対2で勝っています。9回に失点して追いつかれてしまった久保康友投手が、ベンチ前へ戻ってきた田上選手を笑顔でバンバン叩いている写真がありました。

そんな田上選手の脚を、来シーズンも見られると信じています。この日、関西はもちろん北海道から応援に来られた方があったとか。締めに田上選手の母・安子さんから頂戴したメールの言葉を紹介させてください。

『三塁ネット際に田上タオルを掛けて応援して下さったファンの方、田上頑張れ!と大きな声援を送って下さった方、早朝より駆けつけて下さった方、大雨の中で息子を待って下さり「どこに行っても応援しています」と言って下さった方など、改めて多くの素敵なファンに恵まれた息子は幸せだなと思いました。支えて下さったすべてのファンの皆様に感謝の思いで一杯です。新天地で活躍して、恩返ししてもらいたいと願っています』


『岡本育子の新小虎日記』―タテジマへの感謝も込めて― 12球団合同トライアウト・後編《阪神ファーム》 より